三条の滝訪瀑レポ2007/06/05

■三条の滝を見るベストシーズンは?
 こんな前置きはどうでもいいと言う方はこちらから<当日のレポ>へどうぞ!
尾瀬の三条の滝に何を求めて行くか?は最も大切です。
尾瀬はご存知のように花、山、空気等の自然が一杯だ。
その中にある三条の滝の”売り”は、高さでも形でもないずばり”水量”だ。
★そう考えると「三条の滝」=水量=雪解けの春の開山に的を絞ることになる。
その開山が通常5月〜6月になる。
例年5月中旬では、まだ雪に覆われていて、天神田代分岐から渋沢温泉小屋に向かう場合は、地図・磁石など方位が分かる物を持参下さいと言う状況だ。
当初6月初では、コースに雪が残っていて歩行が難しいという情報だったが急に暖かくなり急変した。
★このことと、もう一つの判断要素は気温と天候だ。
尾瀬=高原=夏季でも涼しいのイメージをもってしまうが、色々の方の夏季の「三条の滝」行きのレポをあらかじめ読んでみるとそうではないことがわかる。
コースの途中で雨や雪に会うことの悲惨さは、登山の最大の敵だが、中でも気温による疲労は尾瀬では想像以上のようだ。
尾瀬では、一般登山のような木陰が思ったほどない中を長距離歩行を余儀なくされる。 延々と天空にさらされた原っぱだからだ。
また1500m級の山で終日の天候の安定は難しい。

 以上の判断要素から雪解け直後の入梅前の「三条の滝」行きを決めた。
雪解けで水量豊富、梅雨でなく、入山者も少ない「三条の滝」訪瀑は、尾瀬=夏の常識をすり抜ける1〜2週間の隙間期間が三条の滝を見るベストシーズンだと決めたのです。
そしてそれは見事に的中して最高の訪瀑ができました。
入梅が例年より遅れたのも幸いした。

■尾瀬は1500m級の山岳地帯
 "若者、健脚者は別として、一般的な花好き・撮影好き中高年ハイカーでは、日帰りで三条ノ滝を訪ねることは出来ず、山小屋に泊まった翌日に見学、見学した当日に山小屋泊まりとするのが一般的です。"と案内されている

 高原のお気軽ルン♪ルン♪滝行きではないことを先ず頭に入れておきたい。

 歩行コースの標高概要は:
御池(標高1,510m)〜0.7km〜上田代(標高1,620m)〜6km〜三条の滝(標高1,250m)であることから御池基準標高差は+110m、-370m。

 コースは帰りが昇りとなるがうさぎ田代から「三条の滝」までの急傾斜下りと登り返しが最大の難所。、あせらずゆっくり時間をかける。


■<当日のレポ> 2007/06/05
やっと当日のレポを書くところに辿り着きました。

 前日(6/4)Am9時ころ銚子ケ滝の看板に帰還し、写録の旅人さんとの滝行き日程は終わった。
Am11時ころ会津若松レンタカー営業所で写録の旅人さんと別れて、一路檜枝岐村(ひのえぎむら)尾瀬の御池(みいけ)ロッジまでの約110kmを目指す。
街道沿いは新緑と花の季節。
会津若松から三つの県が接する尾瀬までの花タ〜イム。

 "うつぎ"
 写録の旅人さんに教えてもらった花で多くの花びらが普通。
つぼみを見たくて撮ったが遠すぎ〜(>_<)

 調べてみたら・・・♪卯の花の 匂う垣根に♪・・の”卯の花”のことで多くの種類の中”たにうつぎ”らしい・・薄ピンクのうつぎは、恋する少女のように〜〜我輩に縁遠い〜〜写録の旅人さんが漏らした”箱根うつぎ” は白、ピンク、真っ赤、が混じるとりわけ美麗種のようだ。
 "藤の花"
「綺麗だった!」終わり。
・・花音痴”滝の思い出”
遠すぎ〜(>_<)
 農家の庭先に咲いていた。
名前は知らない。

 途中通過する山や村には、いろんな綺麗な花が咲いている。

 空も晴れ渡っている。
明日の天候は心配なしだ。


R401を南下R352に入り檜枝岐村の集落を過ぎ七入橋を渡って暫くすると坂道が曲折しながら高度を上げて行く。

 モーカケの滝駐車場に寄る。
歩1〜2分の滝見台で2〜3枚撮って更に走る。


 間もなく大きな駐車場傍の御池ロッジに、Pm2時半ころ到着。
ロッジの傍の所々に雪が残っていて、尾瀬のシンボル水芭蕉がそこかしこに咲いている。
とりあえず風呂に入ってから情報蒐集。
天候問題なし、熊情報なし、コース残雪情報??「有ったが歩けた」客情報、木道「監視員が出ていた」客情報・・・まずまずだ。

 明日(6/5)は早朝5時出発、約6.7Kmを単独往復予定だ。
リュックは軽〜く、旅用品は車に残す、三脚、カメラ、お茶2リットルPETボトルと小分け500ml(この方が安いんだ。多い?)、ロッジにオーダーの朝食、昼食のお握り、雨の心配は無いが安物ヤッケ(数100グラム)、携帯はすでに圏外だがメモ写真用、汗拭きタオル(私は汗かき=お茶2リットルは計算バッチリ!)、熊鈴、笛(国際救難信号OK。知ってる?(^^ゞ))、後はどこで小便すっかだけ(!!)ゴメン熊さんm(__)m。

 6/5、Am4:30起床、リュックに昼用握り飯は入れた、部屋緑茶で朝用握り飯パックン!(軽くしたい一心(^_^;))、
準備万端 GO!Am5:00 just。
大駐車場は1/4くらい埋まっているが大型バスが多い。食堂で見た老夫婦族か?
(以後続々到着予定? 帰還時点の昼過ぎでは、8割程度埋っていた。)

 大駐車場突き当たりが御池遊歩道の出発点だ。誰もいない入山自動カウンター前を大股で通過(^^ゞ。


 いきなり、ジュクジュクの腐った木道と半分水に浸かったベチャベチャ道の御池田代。
(だから御池(みいけ)なんだ〜。美しくない池〜!)
木道って、こんな状態が続くのか? と不安に思いながら進むと、徐々に道が上向きジグザグ木製階段に変わる。
姫田代>>上田代(高い処にあるから上田代?)と110mも高度が上がってきた。
体温が上がってくる。夏は更に気温があるのでこんなでは済まないから早朝出発が必須。

05:36
 遠くに?雪を被った山が見える。
これから後、こんな木道が延々と続く。
 上田代はわずか10日前はこんなだったようだ。
このわずか後だからこそ”大水量”の三条の滝が期待できるのだ。
 横田代通過、御池から2Kmきた。
 そこらじゅうに咲く水芭蕉もよくよく見ると完全無欠なのは少ない。葉っぱ?花びら?の端っこが茶けていたり乾燥している。これはましなのを選んで撮ったんです。
 天神田代、最初の渋沢温泉小屋方面分岐路に到着 御池から半分(3.3Km)きた。
06:09
 木道の所々に雪が残っている。
写録の旅人さんが、「これ持ってけ」と渡してくれた簡易アイゼンは精神安定効果絶大。
雪量はなく無事通過できた。
写録の旅人さんありがとう!
これを親父に贈ったやさしい息子さんにいうべきか?
 そして土石流頻発川の渋沢にかかる裏燧橋(吊橋)に出る。
御池側(右岸、写真手前側)・尾瀬ヶ原側(左岸)ともに、ベンチが設置されているが疲れもないので橋の上の涼風を受けて進む。
ここまで気温は爽快。夏ならこうはいかない。
06:57
 そしていよいよ御池から5.5Kmの三条の滝(1.2Km)に下りる急斜面降り口に辿り着いた。
右に行くと第二の渋沢温泉小屋方面路、左に行くと尾瀬ケ原方面。


 左の尾瀬ケ原方面から大きな声の女性ガイドが引率する5〜6人の女性グループがやってきた。
早く降りないと「ワ^ワ^きゃ^きゃ^」の大騒ぎ下降になるな。
急いでどんどん降りていくことにした。

 石の階段、とんでもない段差の所もある。
 木の根の階段、後ろ(上)からは、予想通りの「ワ^ワ^きゃ^きゃ^」がきこえる。

 下方からは、滝壷の重低音がハウリングするようなうねり音をあげている。
わくわくする時間帯だ。


 初体験者(私も初体験)は、じっくりあせらずゆっくり時間をかけて降りてください。
前向きで降りずに梯子のように後ろ向きで降りましょう。
帰りの登りの方が体力は使いますが安全です。
後ろからせかせないであげてください。
こわ〜い、しんど〜い時間は、長く感じるがここでの奮闘はせいぜい10〜15分でした。
 何故こんな余裕のコメントができるかと言うと、「御来光の滝」の面河渓谷への37°急斜面に比べれば、子供の遊園地程度だからです。
下の地形図を見てください。最大傾斜は下の1/4の百数十メートルの22.5度だけです。
レポによっては1.2Kmが凄い傾斜のように書かれていますがそんなことはありません。

 所々にはとんでもない段差(腰の高さ程度)の所もありますが・・・。

 急斜面を降りると左手から老夫婦(70歳?くらい)が歩いてきた。
ずぼんが泥だらけだ。
「どうしましたか?」
と尋ねると
「路がどろどろだったんです。雪解け水で・・」
・・と奥さんは今にも泣き出しそう。
「平滑の滝は?」
とたずねると
「急流の川です。」
「きれいでしたか?」
「急流の川です。高いところから見えた・・・」
・・と明らかに落胆の色だ。
それ以上の感想はなかった。

 この時点で、平滑の滝行きは中止と決めた。
私の持論は、「滝は上から見るものでない」ましてや川なら尚更だ。
どうしても見たい方は「平滑の滝」ビューポイントまで行って帰ってきて、急斜面を帰った方が短距離になる。
 急斜面を昇り返すのが耐えられない方は「平滑の滝」を見て延々3Kmの回り道をして急斜面降り口まで廻ってくることになりますがこの路も温泉小屋手前までは準急斜面で荒れているようです。
この老夫婦の落胆ぶりが如実に物語っていた。

7;23 
 数分で三条の滝、上の展望台に到着
(御池ロッジから2時間23分)だった。
写真をとりながらゆっくりだから、まあまあだ。
木の葉隠れに滝が見える。
谷全体が地響きをあげている。


 小さい橋の欄干の合間から滝壷の水流が踊り返っているのが見える。
先ほどの女性ガイドが自信たっぷりに
「この下に滝全体が見える観瀑台があります」という。
「はい知っています」
「そっちの方がいいですよ」
よけいなお世話だ。
ここの松ノ木越しの眺めもなかなかのものです。
たっぷり楽しんで・・・

 下の観瀑台には頑丈な木製階段で降りて行きます。


 20畳くらいのテラスは断崖に突き出すように設置され、木製の固定テーブルと椅子まである。
5人ほどが入れ替わり降りては還って行く。
滝も良いのだが、人間観察も面白かった。
到着すると
「わ〜すごい!」の放心形が標準。
「おい!、おい!、おい、わ〜わ〜」の興奮絶頂形。
「・・・・ふっ・・・・ん〜・・」の無言自己処理形。
「おとーさん、みっちゃん、見た見た〜?」の周囲宣伝形。
「はよ、はよ写真撮って!ここに並びなさい!」の独裁支配形。
だいたいこの5形になる。

 2時間ほど滞在する間に周期的にテラスに誰もいなくなる時間が訪れた。
その時はこの三条の滝テラスが写真を撮ったり昼食をとる贅沢な私専用のテラスとなったのです。
信じられますか?この開放感がどんなに感動的だったか。
たっぷり楽しんで9時44分三条の滝出発。

 実は”平滑の滝行き中止”と決めた時点であることを決めていた。
その時、遊歩道の左側に見えた滑は三条の滝の真上であった。
三条の滝上流の平滑の滝はこんなだろうと想像できた。
それなら”三条の滝の頭”を撮れば済むことだ。
それも上流側から。
その場所を探し川を覗き込んでいると「やめときなさいよ危ない」という人。
川に出るわけじゃないので強行。

 谷に降りて川から5mほどで撮ったのがこれだ。
平滑の滝を上から見るよりは数段ましだと自己満足。
このすぐ右が滝となって落ちている。


 その後、木の根の階段、石の階段を昇り返してもと来た木道を御池ロッジに帰りついたら12時44分でした。
帰り所要時間ぴったり3時間。
”三条の滝の頭”撮り冒険して急斜面昇り返し込みだからまあまあだ。

総括
■総時間=7時間44分
■歩行総時間=5時間23分(含む小休止)
5:00御池ロッジ出発〜(往路=2:23)〜三条の滝到着7;23
〜(滞在=2:21)〜
9:44三条の滝出発〜(復路=3:00)〜御池ロッジ帰還12:44

三条の滝訪瀑レポ終わります。
レポおそくなり、お待たせしました。2007/06/20 滝の思い出kaidosun。
 <完>