五木村 2005/04/09
熊本県球磨郡五木村
 自分の体重とさほど違わない赤子を背負い、自分のおかれた情況を嘆き憂えた代表的な正調五木の子守唄(歌詞の意味)は悲しく胸にささる。
■おどま盆ぎり盆ぎり 盆からさきゃおらんと 盆がはよくりゃはよ戻る
(わたしの奉公も盆かぎりで終わり 父母がいる古里にはやくもどりたい。早く盆よ来い。)
■おどんがうっちんだちゅうて だいが泣いてくりゅうか うらの松山蝉が鳴く
(奉公人の私なんかが死んでもだれも悲しまない、ただ蝉だけが鳴くだけだろ)
■おどんがうっちんだら みちばちゃいけろ 通るひとごち花あぐる
(私が死んだら道端にいけてね、通る人達が花でもあげてくれるだろうから。)
■花はなんの花 ツンツン椿 水は天からもらい水
(あげてくれる花は何でもいいが 道端にある椿でいいよ水がなくても雨が降ってくるから。)
■おどんがおとっつあんな あんやみゃおらす おらすともえばいこごたる
(私の父は遠くのあの山で仕事をしているだろう いると思えば早く帰りたい気持ちが大きくなる。)
■おどまいやいや 泣く子の守にゃ 泣くと言われて憎まれる
(私いやだよ泣きやまぬ子の守は 泣くといっては守の仕方が悪いと叱られる。)
■ねんねした子の可愛さむぞさ 起きて泣く子のつらにくさ
(背中ですぐ寝る子は子守にとって楽だけど、泣いて寝ない子は普段は可愛いけれど憎らしい。)